
たしかにKeepaを見ていると、FBMという単語はよく出てくるね
Amazon物販と言えば、商品保管、発送、カスタマー対応を委託できるFBAはよく知られていますが、FBMという言葉はあまり聞きません。

しかし、Keepaを確認してみると、上図のように出品者の記載にFBMという単語を目にする方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はEC STARs Lab.の10年以上、700名以上のコンサル実績の知見をもとに、Amazon FBMについて解説します。
Amazon物販を始めたばかりの方は最後までご覧ください。

目次
Amazon FBMとは? FBAとの違いは?

Amazon FBMとは、Fulfilled By Merchantの略で、簡単に言えば、自己発送する出品者のことを指します。
FBA出荷が商品保管、注文・発送、カスタマー対応すべてをAmazonが代わりに行うことに対して、FBM出荷はすべて自分で行います。
おそらく、Amazon物販実践者の多くは、FBAはよく聞くが、FBMという言葉はほとんど聞く機会がありません。
というのも、FBMは全部自分で作業しなければいけないというデメリットが強く、よほど物流体制が整っていなければFBA出荷にしている方が大半だからです。
ただ、後述するように商品によってはFBMの方が適していることがありますし、なかにはFBA禁止商品もあります。
この場合は、FBM出荷にした方が良いでしょう。

数は多くないですが、FBMで対応している商品も稀にあります
EC STARs Lab.でAmazon物販を学び、月利50万円以上を達成した松井さんもこのように言っています。
なお、FBMとFBAの違いの詳細については、以下の記事も参考にしてください。
Amazon FBMの3つのメリット

まずは、FBMのメリットについて解説します。
次のようなメリットを享受したい場合は、FBM出荷も検討の余地があるでしょう。
FBAより送料・手数料が安くなる
商品にもよって違うということが前提になりますが、FBMにすることで、FBAより送料・手数料を抑えることができます。
FBAを利用すると、次の手数料がかかってきます。
- FBA配送代行手数料:商品発送時に必ず発生する
- FBA在庫保管手数料:FBA倉庫の保管日数等により変動するが必ず発生する
- FBA在庫保管追加手数料:26週間以上FBA倉庫に保管している商品のみ対象
- FBA長期在庫追加手数料:271日以上FBA倉庫に保管している商品のみ対象
- 低在庫レベル手数料:商品の需要に対して在庫が少ない小型・標準サイズの商品のみ対象
- FBA返送・所有権放棄手数料:FBA倉庫の在庫を処分する場合のみ発生
- 納品不備受領作業手数料:納品不備が生じた場合のみ発生
- 商品ラベル貼付サービス:商品ラベルの貼付をFBAに委託する場合のみ発生
- FBA梱包サービス:FBA納品の際の梱包を委託する場合のみ発生
上記の手数料のうち、必ず発生する手数料は、太字にしたFBA配送代行手数料とFBA在庫保管手数料のみです。
ただ、それでもFBMに比べると送料・手数料の合計が高くなる傾向にあります。
また、FBMの場合は、配送方法を自分で選ぶことができますし、場合によっては特約料金が使える場合もあるでしょう。
集荷のスタッフと関係構築できることで、配送条件や料金を融通してもらえることもあります。
このように、物流体制を整えることができるならFBMを選んだ方が良いかもしれません。
ただ、FBAにも、パートナーキャリア・ヤマトオプションなど送料を抑える方法があります。
結果的に、FBAの方が送料・手数料を抑えられるケースもある点は注意してください。
FBAのルールに縛られない
FBMの場合は、Amazonに商品を出品するものの、在庫保管や注文管理、商品の発送、カスタマー対応は自分で行います。
労力負担が大きいことはデメリットですが、一方でFBAのルールに縛られないというメリットもあります。
FBA納品する際は、納品プランを作成して、FBAのルールを守って梱包しなければいけません。
不備があれば受領拒否になってしまい、返送されて再度FBAに発送する必要があります。
特に要期限管理商品(賞味期限/消費期限がある商品)、危険物、セット商品などは細かい納品ルールがあるので注意が必要です。
そのため、FBAのルールに縛られたくない事情がある場合は、自己発送の方が良いでしょう。
ただ、FBA納品は初心者の方は難しいと感じるかもしれませんが、EC STARs Lab.メンバーの大半はすぐに慣れています。
自己発送の方が労力負担は圧倒的に大きいので、可能な限りFBA納品とすることをおすすめします。
FBA納品については、以下の記事を参考にしてください。
返品リスクを抑えることができる
Amazonは、「地球上で最もお客様を大切にする企業」という経営理念であるため、どちらかというと出品者よりも消費者保護の側面が強いプラットフォームです。
「やっぱりいらない」「想像していた商品と違った」という、理不尽な理由でも返品することができます。
未使用・未開封の場合は全額返金、開封済でも使用感がなければ半額返金しなければいけません。
- 未使用かつ未開封の場合: 商品代金(税込)を全額返金します。
- 開封済みの場合: 商品代金(税込)の50%を返金します。
開封状態にかかわらず、配送料・手数料およびギフトラッピング料は返金いたしません。
※Amazonヘルプ&カスタマーサービス「返品・交換の条件」より抜粋
消費者にとっては安心材料ですし、正直私もAmazonで買った商品を返品したことは何度かあります。
しかし、出品者にとっては、理不尽な理由でも返品・返金対応しなければいけないのはリスクです。
特に数万円程度の高単価商品の場合は、返品リスクが大きくなってしまいます。
しかし、カスタマー対応を自分で行うFBM出荷の場合は、任意で返金額を調整できるので、返品リスクを抑えることができます。
3万円、5万円など高単価商品を扱う場合は、FBMを検討しても良いでしょう。
ただ、30万円以上の高額商品については、Amazonの返品ポリシーによって未使用・未開封の商品のみ返品が可能とされています。
- 高額商品とはAmazon.co.jpが発送する30万円(税込)以上の商品です。
- お客様都合による返品は未使用・未開封の場合のみ承ります。理由・状態にかかわらず交換は承りません。
※Amazonヘルプ&カスタマーサービス「返品・交換の条件」より抜粋
30万円以上の高額商品を扱うケースは少ないと思いますが、目安として知っておいてください。
Amazon FBMの5つのデメリット

次にFBMのデメリットについてお伝えします。
次の理由から、例外を除いてAmazon物販ではFBA利用とすることを強くおすすめします。
在庫保管・梱包・発送・カスタマー対応をすべて自分でやらないといけない
何度かお伝えしているように、FBMでは在庫保管・梱包・発送・カスタマー対応をすべて自分でやらないといけません。
今までメルカリやヤフオクを販路として利用してきた人から見れば、

それって当たり前じゃない? 既存商品であれば商品ページを作る必要がないから、まだ楽だと思う
と思うかもしれませんが、1回FBAを利用したら、おそらく元に戻れなくなるくらい楽に感じるでしょう。
それくらい、FBMの発送作業やカスタマー対応の労力負担は大きいです。
カートボックスを獲得することが困難である
FBM出荷は、カートボックスを獲得することが困難です。
これは、プライムマークが付いているかどうかも、カートボックスの重要な獲得条件の1つだからです。
※カートボックスの仕組みや獲得条件などの詳細は、以下の記事を参考にしてください。
FBA出荷であれば、自動的にプライムマークが付きますが、FBMであれば、マケプレプライムを利用しないと付きません。
このマケプレプライムの適用条件が、以下のようにかなり厳しいのです。
- 期日内配送率が96%以上。
- 追跡可能率が94%以上。
- キャンセル率が1%未満。
- プライム対象の配送パターンで、すべての標準サイズの商品を全国配送の対象とする。
- 週末出荷(祝日を除く、土曜日と日曜日を含んだ週7日間の出荷)。
- 標準サイズおよび大型サイズ商品に対する、翌日および翌々日の配送時間指標。
※Amazonセラーセントラル「マケプレプライムのパフォーマンス指標」より抜粋
つまり、
FBM出荷⇒プライムマークが付かない⇒カートボックスが獲れない⇒商品が売れない
ということになってしまいます。
この点を考えても、特にAmazon物販初心者はFBA発送の方が有利になります。
なお、プライムマークについては、以下の記事をご覧ください。
消費者に敬遠されやすい
これもプライムマークに関係する話ですが、FBM出荷はFBA出荷に比べて消費者に敬遠されやすいです。
FBA出荷の出品者にはプライムマークが付いていますから、消費者はお急ぎ便やお届け日指定便でも確実に対応してもらえる保証があります。
しかも、消費者はプライムマークが付いている出品者から購入すると、お急ぎ便やお届け日指定便でも無料で対応してもらえます。
しかし、FBMの場合は、マケプレプライム利用者を除けばプライムマークがありません。
プライムマークがないので、消費者は無料でお急ぎ便やお届け日指定便を使えませんし、そもそも配送に時間がかかる可能性もあります。
そのため、FBM出荷は基本的に消費者に敬遠されやすくなるので、ますます商品が売れないことになります。
特に副業では迅速な対応ができない
FBMは、発送作業とカスタマー対応を自分で行わないといけないので、副業の方は迅速な対応ができません。
本業の仕事中に注文が入ったとしても、発送対応ができるのは、当日夜以降になります。
ちょうど仕事が繁忙期で残業していれば、翌日に発送になる可能性もあります。
それでは、顧客からクレームになりますし、後述するようにアカウント健全性に傷が付くことになりかねません。
Amazon物販初心者の大半は副業で行っていると思われますが、FBMで対応することは、実質不可能と考えて良いでしょう。
発送ミスや遅延トラブルでアカウント健全性に傷が付く
FBMでは、すべて自分の手で在庫管理や注文・発送対応を行わないといけないので、発送ミスや遅延トラブルが起きやすくなります。
そうなるとアカウント健全性に傷が付き、カートボックスが獲りにくくなったり、最悪アカウント停止のリスクが出てきたりします。
アカウント健全性は、次の5つで評価されます。
項目 | 概要 | 基準 |
注文不良率 | 商品の不良割合 | 1%未満 |
キャンセル率 | 出品者都合のキャンセル率 | 2.5%未満 |
出荷遅延率 | 予定日から遅れて出荷した商品の割合 | 4%未満 |
追跡可能率 | 追跡可能な注文の割合 | 95%以上 |
期日内配送率 | お届け予定日までに配送された注文の割合 | 97%以上 |
上記の基準を満たしていない場合が、アカウント健全性に傷が付いている状態です。
FBA出荷であればほとんど気にすることはないですが、FBMになるとリスクが高くなるので注意してください。
【結論】Amazon物販ならFBMではなくFBA利用が一番おすすめ

FBMのメリット・デメリットについてお伝えしましたが、結論は次の通りです。
一部の商品を除いて、基本的にはFBMではなくFBAを利用するべき
FBMよりFBAを使うべき理由は、次の比較表を見るとわかりやすいでしょう。
FBA | FBM | |
発送作業の自動化 | 〇 | × |
カスタマー対応の自動化 | 〇 | × |
プライムマーク | 〇 | △(×に近い) |
カートボックス獲得 | 〇 | △(×に近い) |
消費者の印象 | 〇 | × |
迅速な対応 | 〇 | × |
アカウント健全性 | 〇 | △ |
Amazon手数料 | × | 〇 |
送料 | 〇 | △ |
返品リスク | △ | 〇 |
FBMよりFBAの方が、「発送作業やカスタマー対応が楽」「商品が売れやすい」ということは間違いないでしょう。
気になるところは、送料・手数料ですが、実はFBMとFBAで比較しても、商品や物流体制によりけりです。
FBAは、どうしてもAmazonの手数料が高くなりますが、一方でFBAパートナーキャリアなどで送料を抑えることが可能です。
FBAもFBMも、結果的に送料・手数料があまり変わらなかったということも多いので、利益計算はしっかり行いましょう。
特にAmazon物販初心者は、多少送料・手数料がかかってもFBAをおすすめします。
Amazon FBMの方が向いている3つの商品

Amazon物販に取り組むなら、基本的にはFBAを利用した方が良いですが、例外的にFBMにした方が良い商品もあります。
具体的には、次の商品はFBMにした方が良いでしょう(ただし、FBA禁止商品は除きます)。
数万円規模の高単価商品
先ほどお伝えしたように、Amazon FBAでは返品額の調整が効かないので、比較的返品リスクが高くなります。
Amazonは管理体制がしっかりしているので、メルカリほど頻発していませんが、抜き取りリスク(返品詐欺)がまったくないわけではありません。
そのため、数万円規模の高単価商品を販売する際は、FBMにして返品額を調整する方が良いこともあります。
ただ、高単価商品は、そもそも在庫リスクも高く、比較的中上級者向きなのでAmazon物販初心者の方は避けても良いでしょう。
1,000円以下の低単価商品
高単価商品だけでなく、逆に1,000円以下の低単価商品も、FBMに向いています。
なぜかというと、低単価商品になると、送料・手数料負けのリスクが大きくなるからです。
FBA料金シミュレーターなどで利益計算してみて、どうしてもFBAで赤字になるなら、FBMも検討の余地があるでしょう。
しかし、1,000円以下の商品については、FBA配送代行手数料が商品あたり66円安くなります。
FBA小型軽量商品プログラムは廃止されていますが、今でも低単価商品はFBA手数料の観点で優遇されている点は考慮しましょう。
薄利多売が前提となる1,000円以下の低単価商品は、初心者を中心に敬遠する人が多いです。
しかし、ライバルが比較的少ないうえに安定的に利益を得やすく、しかも在庫リスクが低いというメリットがあります。
利益計算に十分気を付けるという前提で、挑戦する価値は十分あるでしょう。
無在庫で販売する商品
無在庫で販売する商品は、FBAは利用できないので、必然的にFBMしか選択肢がありません。
例えば、取引メーカーから直接消費者に商品を直送してもらうような場合などは、FBMも選択の余地があるでしょう。
ただし、Amazonのドロップシッピングポリシーには十分注意して、次の点は遵守してください。
- 商品に同梱または付随する納品書、請求書、外部パッケージ、その他の情報すべてについて、出品者自身のみが商品の出品者として特定される記録上の出品者であり、事業体であるとする契約を仕入れ先と結んでいること。
- 注文を出荷する前に、別の出品者または第三者の仕入先を特定する納品書、請求書、外部パッケージおよびその他の情報をすべて取り除くこと。
- 購入者返品の受付・実施の責任を負うこと。
- ビジネスソリューション契約(BSA)および該当するAmazonのポリシーを常に遵守すること。
※Amazonセラーセントラル「ドロップシッピングポリシー」より抜粋
ドロップシッピングポリシーさえ守っていれば、メーカー仕入れに取り組んでいる方は、有効な発送方法の選択肢の1つです。
「メーカー仕入れとは何?」という方は、次の動画をご覧ください。
最後に
以上、Amazon FBMの概要やメリット・デメリット、FBMに向いている商品について解説しました。
基本的には、注文・発送対応やカスタマー対応が自動化できて、商品が売れやすいFBA出荷を強くおすすめします。
ただ、場合によってはFBMの方が適している商品もあります。
特にAmazon物販中上級者の方は、FBMに適した商品にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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FBAに似た言葉で、FBMという単語を見たことがあるけど、あれは何なの?